日本人拉致被害者は100人以上も

「特定失踪者」問題とは 特定失踪者問題調査会

■拉致の可能性のある人々

拉致の可能性の高い特定失踪者(1000番台リスト)家族が刑事告発
拉致の可能性の高い特定失踪者(1000番台リスト)家族が刑事告発

 「特定失踪者」とは政府認定拉致被害者(12件17名)以外の「拉致の可能性のある失踪者」のことです。平成14(2002)年9月17日、北朝鮮が日本人13名のみについての拉致の事実を認めました。しかし日本国内の失踪者を持つ多くのご家族から、「自分の家族も拉致をされたのではないか」という相談が、当時の「救う会全国協議会」に寄せられました。
 明らかになっている以外に多くの日本人が北朝鮮に拉致をされた可能性がある…
 これら失踪者の中から拉致の可能性を調査するため、「救う会」からこの機能を分離し、平成15年1月に独立した機関「特定失踪者問題調査会(調査会)」を設立しました。

■「真相究明」と「救出」と…

 北朝鮮による拉致は、未だその全体像が明らかになっていません。日本政府も「政府認定被害者以外にも拉致をされている可能性がある」として、警察をはじめ捜査・調査を行っています。しかし北朝鮮が拉致を認めて以来現在にいたるまで、新たに政府に認定された拉致被害者はわずか2名に過ぎません。こうしたやり方では、多くの拉致被害者は北朝鮮で一生を終えてしまいます。「真相究明」以上に「救出」が優先されるべきなのです。
 現在調査会には約470名の失踪者リストがあり、うち270名が氏名と顔写真を公開し、広く情報を求めています。調査会ではこれらの失踪者について、失踪の時期、場所、職業、失踪状況など様々な確度から「北朝鮮による拉致」の可能性を調査しています。その結果少なくとも100名を超える日本人が拉致をされていると見ています。
 あわせて内外のあらゆる情報を収集し、政府認定拉致被害者、調査会に届けられた特定失踪者リスト以外の失踪者をも含む拉致被害者全員の救出を目指しています。

■短波放送「しおかぜ」について

北朝鮮向け短波ラジオ「しおかぜ」収録中の
荒木和博・特定失踪者問題調査会代表
北朝鮮向け短波ラジオ「しおかぜ」収録中の
荒木和博・特定失踪者問題調査会代表(右)。

 このような情報収集とともに、調査会では情報の発信も行っています。
 その一つが短波放送「しおかぜ」です。「しおかぜ」では拉致被害者および特定失踪者のご家族の生の声やメッセージを北朝鮮に向けて放送しています。特定失踪者のご家族は、その失踪の原因が分からないまま長い年月を過ごしてこられました。自分の家族が北朝鮮にいるかもしれない……そんな一縷の望みでメッセージを記しておられます。
 これらは単にご家族だけの想いではありません。同胞を拉致された日本人全員の想いでもあります。みなさんの被害者救出の願いを、日本海のしおかぜに乗せて北朝鮮に送りましょう。